日本/海外の境界を越えて、最前線で音楽を鳴らすために

「世界中の誰もがマクドナルド食べてコカ・コーラ飲みながら、Youtube見てる時代」の音楽

ー秋山君はきくりんに友達として色々サポートしてもらうことで変わったことはある?
 
秋山:人脈が大きく広がっていきましたね。近い距離で届けられる人の幅がものすごく広がっていったっていうのが一番だと思います。一緒に何かを議論したり、同じ目線で話ができる人が増えていきました。同じ大学のサークルの先輩であるカメラマンの美里さん(松藤美里)とか、今NYにいるケティックの山田さんとか、それこそTemplesのメンバーとかThe Orwellsとか。身近なところから、信じられないところまでかなり色々と広がっていったんです。
 
ーだからよりフラットに海外のレーベルからCDを出すみたいなことが、夢物語じゃなくて、延長上に描けるようになったということだね。
 
秋山:僕らはずっと海外のバンドに憧れていたんで、海外のバンドと関わりたいと思っていたんですけど。いざ、きくりんさんがサポートして動いてくれるようになってできた繋がりの中で大きいのは、日本人の同世代の人たちで同じ目線で持っている人たち。自分が知らなかっただけで、「似た考えで動いている人達がたくさんいるんだ」っていう気付きが結構大きくて。もちろん海外のアーティストとの出会いもすごく大きいんですけど。

ーこないだYogee New Waves のインタビューを読んだら、「僕らの世代はひっくり返せるんじゃないかって思ってる」って言っていて。今若手ミュージシャンが思っていることってきっと同じなんだろうなって思う。ひっくり返そうっていう空気が、土壌ができてくれば本当に変わるんじゃないかって。
 
菊地:そのためには、Yogeeとか、DYGLとか、あと誰だろ…そのあたりのバンドが各自やることやらなきゃだめですよね。DYGLは海外に出て成功する必要がありますし、それで日本の音楽シーンの体制が変わったらいいんですけど。
 
またアメリカの話になってしまうんですけど、現地に行って音楽が好きな若い子たちが、それこそミツメとか普通に名前を出すんですよ。「なんでミツメ来ないの?」とか。僕らが思ってる以上に日本のシーンは世界に開けてるんじゃん!って思いましたね。僕らが閉鎖的すぎるんでは?と思ってしまうくらい。
 
秋山:今それって日本だけじゃなくて、別のアジアの国々でも同時に起こっていることで。それこそインドネシアとか台湾とか、ヨーロッパのバンドが出ていなかった国でもインターネットでも全部文化が一緒で、みんなgoogleを知っててマクドナルド食べてコカ・コーラを飲みながらYoutube観てる時代なんです。同じ文化で育っている。良くも悪くもこの現状から逃げられない以上、みんながそういう風な生き方をし始めている部分で、若手のシーンが動いているじゃないかって思いますね。日本のなかで新しい流れがどうこうというよりは、世界全体がそういう動きなんじゃないかなって思いますね。
 
ー本当にその流れについて行けているのはアンダー25とか、本当にそう思うのね。その感覚がリアルタイムで感じ取れているのは、そこより下だと思うし、上の世代はそう言われてもなんかこうピンと来ない人も結構、それが大多数だと思う。
 
秋山:そうかもしれないですね。

ーきくりんは半年間、DYGLをサポートしての手応えはどう?
 
菊地:マネージメントとかサポートってやったことがなかったので最初は何ができるんだろうって正直悩みました。でも、とにかく人を繋げたりとか、海外のミュージシャンをアッキーに会わせて、自分がそうだったように、向こうの質感に触れることでいろんなことを感じて貰えたらと思ったので、そういうことは率先してやってきました。
 
The Orwellsというバンドに自分のZINE用にインタビューをしたんですけど、彼らのマネージャーさんが僕の文章に感動をしてくれたみたいで、アメリカでちゃんと手渡しでZINEを渡して、そのとき「ちょうどサマーソニック決まったんだよね。だから夏に会えるかもね」っていう話をしてくれて。
 
でも、外人って口約束で終わっちゃったりとか結構多くて、もうもしかして会えないのかなって思ってたんですけど、そのマネージャーさんはちゃんと「よかったら東京案内してよ」って連絡をくれて。これは絶対にDYGLとかカメラマンの美里ちゃんとか、バンドだけじゃなくていろんな方向のいろんな人たちを紹介することができたらいいなって思っていて。

ーコーディネーターだよね、完全に。
 
菊地:ていうかそれを一人占めする感覚は理解できないかも…。とにかく、サマーソニックの期間でThe Orwellsをアッキーに紹介しました。アッキーも色々と感じてくれたっぽくて、それは本当に今までやってきた中で一番仕事っぽいことしたなっていう手応えがあるんですけど。マネージャーにもメンバーにもカセットを渡せたし。
 
秋山:色々と感じることがあって、それを伝えたんですよね。
 
菊地:音楽云々の話以前に海外に行ってツアーをするという行為に若くしてすごく慣れているなって思いました。「サマソニ終わって次はどこ行くの?」って聞いたら、「これの次はロンドンのフェスに出るよ」って言っていて。自分より年下なのにすごいなって思いましたね。
 
秋山:そうっすよね…。余裕があって。
 
菊地:アッキー含めてThe Orwellsのメンバーと寿司屋さんに行ったとき、「シカゴの音楽シーンってどうなの?」って話をして、「シカゴにもたくさんバンドがいるんだけど、俺たちはたまたまマネージャーのラリーに出会って、ちゃんと契約をして、こうして世界でツアーができてるのは奇跡で、本当にただラッキーなんだよ」って言ってて。あんなやんちゃそうな奴らからそんな台詞聞きたくなかったですけど(笑)、ただ違いは感じましたし、なんだかこういう人たちが表に出ていく人たちの感覚なんだなって思いましたね。そこで「もっと冷静に考えなきゃいけない」って痛感しました。アッキーもサマソニ終わったときに同じことを言ってましたね。
 
『Who Needs You/The Orwells』